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※澤夏さん宅セドビス
※お誕生日おめでとうございます!
※やっぱり別人のようだ
患者が多いときは下手をすれば人手が足りなくて死ぬほど忙しいというのに
来ないときはぱったり来なくて死ぬほど呆れるこの診療所で壁に掛けられた時計が定期的に音を鳴らしていた。
興味が消えた部屋の中で本日四度目のあくびを主治医、セドは躊躇なく行った。
それを咤するように助手、ビスが睨み付ける(とは言っても彼自身もずっと眠たさを噛み殺しているから半分以上はやっかみである)。
さて赤い目は気にすることなく部屋の中をきょろきょろと見渡して在りもしない楽しそうなものを探していた。
唯一つの別世界、窓の外を見るが今日は素晴らしい晴れ空でも音響く大雨でもなかった。
ともすれば対象は自ずともう一人の人間に向けられる。
「落ち着きないですね先輩」
また睨まれる。大して怖くないその視線にわざと障るようにしてビスに近づいていく。
なんてことはないただ観察するだけだ、間近で。
正面から顔を掴み込んでまっすぐに見つめ返す。
咄嗟のことで状況がうまく飲み込めていないだろう彼をじっくりと観察する。
目は驚いて大きさが普段よりも三割増しになっている。周辺を飾る睫毛の長さと中央に座する緑。
あー、怖くなかったのはこの垂れ目が原因かな。
指先で撫でた頬は柔らかい。自分と少し違う髪の色が鼓動を呼んで細やかに揺れた。
幼く開いた口から白い歯と下の先が見えて暗いトーンで濡れている。
改めて見ると切り取っておきたくなるほど魅力のある顔だと思った。
「……先輩い」
耐え切れなくなったビスが目を伏せて顔を真っ赤にした。
それで自分が今なにをしていたかを改めて考え直して、ああ、恐ろしく恥ずかしい。
今更のようではあるが心臓に悪いのに変わらない。
「わ、悪い」
お互い罰が悪そうに顔を背ける。
……どれだけ時間が経ったのかわからないが、本当に患者が来ないのなら。
セドは机の下にある酒のビンを手に取って、もう片方の手で常備してあるグラスを二つ持った。
ちゃぷんとビンの中身が跳ねるのとグラスが擦れて鳴る高い音を、当然ビスが聞き逃さなかった。
この展開はもうほとんどお決まりである。
「酒飲んじゃ駄目ですよ!!」
「いいだろどうせ来ないんだから」
それに飲まなきゃやってられないんだ、と自分に言い聞かせて一つ目のグラスに注……あれ、ない。
さっきよりも厳しくて赤い顔をしたビスの手に二つのグラスがあった。
なるほど彼も、身を守ろうとしてるのか。
(でも逃げ道が欲しいんだろ)
「グラスなくても酒は飲めるんだけどな」
にいと笑ったセドの口元にビンの口が近づくのを見て彼は面白いほど真っ青になった。
医者としての心配をしたのだ、グラスは机に乱暴に置いて両手でその行動を止めるに至った。
「あ、あんた馬鹿かああああ一気飲みしちゃ駄目でしょお?!」
「誰もしねえよそんなこと」
ま、しても平気だけど?
この場で自由に動ける片手を使ってしゅるりとネクタイを取ると、ビンも置いてビスの伸ばされた腕を合わせて縛りつけた。
なんだかんだで心配してくれた優しい人。
(だから二人で逃げようぜ)
あくまでも紳士的に自分よりもわずか背の高い男を診察台に倒すと置かれたグラスに今度こそ酒を注いだ。
「っな、ちょっと……!」
「暇潰しだよ」
さっきのことも今からすることも、な。
如何かしたい
終
・・・ええ、ええ、下手をしてエロに突っ走るところでしたよ、だからこんな終わり方なんですよ
なんでもないかぎり続きは永遠に私の中に!!
とにもかくにも澤夏さんお誕生日おめでとうございます!